就職活動、新卒採用の本質

新卒採用で学生さんと会う機会が多いこの時期。
学生さんは、自分なりに自己分析し、
自分がどんな人間なのか?どんな事をしたいのか?
など一生懸命を考えています。

面接や自己PRでは、
自分が経験してきた事を通してどんな事を学んだのか?
どんな困難を、どうやって乗り越えてきたのか?
などを話してくれる。
表情や目のチカラ、その他の要素である程度
人柄や価値観等は推測できるものの、深い所までは
当然ながらわからない。

演技力があるタイプで、実はたいした事して無くても
たいした事しているように見せる学生もいれば
逆に、PRが下手で、結構すごい事をやってるのに
伝えきれない学生もいると思う。

猪突猛進なタイプの学生さんは自分のやって来た事に
どれだけの価値があるかあまり深く考えず
活き活きと自信満々で自己PRをする。
だから話も面白いし、人間も魅力的に見えたりする。

一方で冷静で謙虚さもある学生は、自分がやって来た事なんて
社会人の方から見たらたいした価値など無いと思い
成長して価値ある事ができるようになりたいです
みたいな控えめな自己PRになったりする。
となると、あまり元気ないし魅力的に見えなかったりもする。

企業側も、自社を最大限魅力的に伝える為に
色々とネタを用意し、活躍している若手、目が生きてる若手を
学生さんに会わせるなどして、何とか優秀な学生を確保しようとする。
当然ながら、目が死んでるような社員を会わせたりはしない。

人事のプロとなると、学生さんに対してどんな話をすれば
刺さるのか?を高い確率で的中させられるので
例えば、叩かれてムキになるタイプの学生さんだと思えば
自己PRなどにダメ出しをして「そんなんじゃ通用しないよ!」
みたいな事を言ってあおり、ムキにさせたり
他にも、新規事業をチラつかせるとか、海外というキーワードを
使うとか、いくつかパターンがあって、学生さんのタイプに応じて
そのパターンを使い分ける訳です。

結局は、パターンに乗せられて誘導されたり
企業の本当の姿ではなく
“企業が学生さんに抱かせたい企業像”
を見せられているケースが多いのではないかと思う訳です。

私も多くの学生さんとお会いしますが、
素直で向上心があってやる気がある学生さんほど
上手に敏腕人事さんにうまく誘導されてるなーという気がします。

他にも、例えば男子学生は特に
商社、コンサルティング、上場などの言葉に弱く
その中身や本質ではなく、言葉の響きでノックアウトされてる
人も多いように感じます。

と、何とも茶番な就職活動であり採用活動だなぁと思う訳です。
でも、これはしょうがないなと。
企業側はどうにかして優秀な人材をとりたいし
学生さんは自分の現時点での判断力で判断するしかない訳ですから。。

では当社アクトインディはどんな採用を目指しているか?

まず、新卒採用でお会いする学生さんに、なるべくありのままを
見てもらおうと思っています。また逆にありのままを見せてもらいたい
と思っています。
そのうえで、一緒に仕事したいと思えるかどうか?
をお互いが判断する機会を設けたいと思っています。

その為にとっている方法が
(1)実際のミーティングに参加してもらう
(2)社員との飲み会に参加してもらう
(3)インターンという形で最低でも2週間は一緒に仕事してもらう
(4)入社のタイミングを卒業直後の4月にこだわらない
といった方法です。

以下解説。

(1)実際のミーティングに参加してもらう
例えば営業担当と数字の確認や見込みクライアントの進捗確認、
2か月後、3か月後、半年後、1年後の売上をどのように計画してるのか?
などめちゃくちゃ真剣に行う会議に参加(見学)してもらっています。
こういった姿は学生さんからするといくら面接で話を聞いても
わからないものなので、見せるのが一番いいと思っています。

(2)社員との飲み会に参加してもらう
これも、素の姿を見せるにはいい方法だと感じています。
学生さんもお酒が入ってくると、ぶっちゃけトークをしてくれますし
弊社の社員もお酒も入って、ざっくばらんな話をするし
少なくともオフィスの会議室や応接室で面接しているよりはずっと
人間性やら相性やら本当の価値観が見れる場だと思います。

(3)インターンという形で最低でも2週間は一緒に仕事してもらう
これは、最終選考で必ずお願いしています。
2週間以上社内にいれば、
どんな人がいるのか?
仕事がどんな流れなのか?
日常どんな仕事をしているのか?
会社の方針がどうなのか?
言ってる事とやってる事が一致してるのか?
などがある程度見えてきます。

例えば「うちは若手に責任ある仕事を任せるよ」という会社は多いですが
2週間いれば若手がどんな仕事してるかも見える訳で
本当かうそかもある程度わかると思います。
また、性格、相性なども2週間いれば面接よりは見える部分が多く、
お互いにとって有意義だと思います。

(4)入社のタイミングを卒業直後の4月にこだわらない
一般的な企業では、内定出した学生さんを他社にとられない
ように必死で囲い込みをするケースが多いですが、
私はむしろ逆に考えています。
どんどん他社を見てほしい、むしろ他社で働いてから
それでも弊社で仕事をしたいと思うなら来てほしいと
考えています。

当社を志望してくださる学生さんにも
正直大手とベンチャーで悩んでますという学生さんは沢山います。
私は、是非大手に行けと言います。

大手は大手でいい面が沢山あります。
一方で、ベンチャーはベンチャーでいい面が沢山あります。
しかし、大手を知らないままで、ベンチャーに入ると、何か壁に
当たった時「ああ?やっぱり大手行っとけばよかったかなー」
なんて考えてしまうのが人間の性かなと思います。

だからこそ、大手行って一生懸命仕事して、色々と見たうえで
最終的にやっぱりベンチャーで仕事したいと思うなら
その時にベンチャーに入ればいいと思います。

ま、逆もしかりですが。

贅沢な話ですが、両方経験して両方のいい面、悪い面を見たうえで
判断すればいいんじゃないかと思う訳です。

なので、私は何も卒業してすぐの4月から入る会社に
そんなに悩む必要はないように思っています。

卒業後、インターンを1?2年やるつもりで会社選びをして
社会人になって1?2年後にどんな道に進むのか
考えればいいのではないかなと思っています。
もちろん入った会社が良ければそこで続ければよい訳です。

だから、当社に新卒で入って来た若手にも
私は積極的に転職を薦めます。他も見たほうがいいよと。

ただし、徹底的に一生懸命にその場で与えられた仕事をすべきだと
思います。必死に取り組まないと見えない物も沢山ありますし
流されて過ごした1年と、自分から求め必死で努力した1年は
全く意味が違ってきます。

茶番な就職活動、採用活動ではなく、本質を考えた場合
現在の私なりに出した答えがこのような方法です。

という事で、当社の新卒採用は5?10年くらい後に
本当の結果がでると考えています。

【パターンA】
当社をインターンなどで経験
 ↓
他社に新卒で就職し一生懸命に仕事をする
 ↓
やっぱり当社でやってみたいと思い転職してくる

【パターンB】
当社へ新卒で就職
 ↓
当社以外も学びたいと転職
 ↓
やっぱり当社が面白い!と復帰

この2つのパターンが私としては理想と考えています。

完璧な方法ではないと思いますし
やたらと時間がかかるし
労力もかかりますが、本当に一緒に会社を創っていくには
こういった採用方法が最善ではないかと感じています。

短期的にいい人材を確保するのではなく
本当に納得して、私はここで仕事をするという意志を持った
人が集まる会社にしていきたいと。

では、新卒採用はほとんどがムダかというとそうは思いません。
採用活動の価値は、何人採用したか?という結果だけではないと
感じています。

次世代を担う多くの学生さんと、将来の夢や志を語り合い
日本の将来、日本から世界に向けて何ができるか?
などを真剣に話しできる事は非常に貴重であり
たとえ当社に就職しなかったとしても(実際その方が圧倒的に
多い訳ですが)お互いに志を持って挑戦している同志として
何となくつながっている事は、年を追うごとに大きな価値となります。

これは、本当にありがたい事で採用以上に価値があるとも
感じています。
だからこそ、新卒採用という場には参加して一人でも
多くの学生さんと本音で話をしたいと思っている次第です。

氷河期とは言うけど、絶対に厳しい時代に社会に出た者の方が
実力がつくし、そもそもこんなに自由に自分の職業を選べる
道がある事自体めちゃくちゃ恵まれてる訳で、学生さんは
最大限この機会を利用して本質を見て、がんばってほしいと
願っています。